事故

 とは言っても、うちやありませんです。
 ひとつ前のエントリを仕上げてさぁ寝るかとソファベッドに入って約4時間、延々と切れては繋がり切れては繋がる携帯電話に叩き起こされまして。
 番号を見てみるとヒデちゃん。
 一体なんやねんと思いながら電話に出ると「事故ったぞ!」の怒鳴り声。
 一瞬「??」ですがな。
 ヒデちゃんが事故ったのか?いや、それにしては元気ありありやなとかぼんやりと思いながら話を聞くと、なんと秋仁が事故って病院に運ばれたらしい。詳しいことはわからんが接触事故で現在手術中。容態についてはわからんそうな。
 えっと・・・・・・だからどうしろと。
 そういう時って友達とかが行くんよりも家族が駆けつけるもんなんやないでしょうか。
 冷たいように聞こえるかもしれんがそう訊ねると
「もしもあいつが死ぬとして、好きな女に側にいて欲しいって思うだろ、俺だって思う」
 そう答えが返って来まして。
 家族には了解を取ってるから今すぐ病院に来いと一喝されちまいました。

 で、とりあえず病院に行ったんやけどまだ手術中。秋仁のお母さんやお父さんに挨拶してヒデちゃんと一緒に手術が終わるのを待ちました。結果、手術は成功。どんだけ酷い怪我なのかと思ったら肋骨4本と大腿骨骨折だけで。・・・・・・え?十分重症だって?いや、うちの骨折経験からすれば大丈夫だと思いまして。やってうち、一度に顎、頬骨、鎖骨、肋骨5本、左上腕骨、鼻骨を折った事あんねんもん。脊髄さえやられてへんかったらええかなと。
 病室に運ばれた秋仁は麻酔が効いてて寝ててんけど、まあ外傷がちょっと酷かったかな。割れたフロントガラスで顔を切ってるから腫れまくってたわ。それを見て「こいつ、顔みたらショック受けるだろうなぁ」なんて思ったり。秋仁、ナルが入ってたからねー。でもまあ、死ななくてよかったっす。大事な友人をまた1人失うところでした。お母さんに聞くと、全治5ヶ月くらいだそうな。

 麻酔からまだ起きそうにないんでうちとヒデちゃんは一旦それぞれの家に戻って昼頃にまた行くことにしてん。んで、ヒデちゃんの車で再び病院に行くと予想通り麻酔から覚めてた。

「秋仁ー、おまぁ、ビビらすなよー」

 なんて言いながら顔を覗き込んだらあいつ、なんちゅうの、痛さに顔しかめながらも笑ってん。腫れてほとんど動かん唇動かして

「みづきぃ」

 って。あれにはちょっとドキリとしちゃいました(笑)。手を握って髪を撫でながら「よぉ頑張ったやん、えらいえらい」と誉めると嬉しそうに目を細めるもんやからこれまたドキリ(笑)。うちにもこんな風に人を笑わせる力があるんやなーって感動のドキリですからあしからず。
 そう言えば、自分の顔がどうなってるのか見たいって言うんで鏡を見せたら硬直してたな(笑)。おまえ、女じゃねーんだからその反応はねぇだろーと突っ込むと

「おむこにいけん」

 なーんて一生懸命嘆いてた。秋仁、お前婿に出るつもりやったんかい!(笑)。ヒデちゃんもこれには苦笑してたわ。そのうえ、自分の怪我の状態を先生に聞いた後言った事がまた。

「みづきとえっちできんなったらどうしよう」

 これには海月さん呆れました(笑)。アホか、こいつは。例え使い物になるとしてもおまえとはエッチせぇへんから。したらヒデちゃんが

「退院したら全快祝いで一回やってやれば?」

 なーんて笑いながら言うもんやからどないしようかと思いましたよ。いつも味方だったヒデちゃんがそんなこと言うやなんて・・・・・・。まあね、ヒデちゃんにとって秋仁は弟みたいな奴やから助かったんが嬉しくてそんなこと言うてんのはわかっててんけど。でも!全快しても秋仁とはしませんから!

 ドリとかやったらここでヒロインが自分の本当の気持ちに気付いて恋に落ちる、なんてことになるんやろうけど・・・・・・ごめん、そんな気持ちにはなりませんでした。本音を言えば、助かって良かったって思ってる。これ以上自分の周りで死人が出て欲しくなかったし。うん、ほんまによかった。けど、ロマンスは生まれておりません。・・・・・・酷いかしら。

 秋仁のお母さんにも頼まれたんでこれから毎日仕事終わりにお見舞い行きますわ。うーん、これで益々あいつの気持ちが固まっちまうんだろうなぁ。どないしよ。